成人発達理論を通じて唯識学を学ぶ
加藤ゼミナール
【本ゼミナールの目指すもの】
本ゼミナールは、心について一緒に学び、心の治癒と成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティです。
そしてこのゼミナールでは、近年人口に膾炙し始めている成人発達理論やインテグラル理論の観点に加え、大乗仏教の「瑜伽行唯識学(ゆがぎょうゆいしきがく)」の観点から心の成長について理解を深めていくことを目指しています。
とりわけ唯識学の思想は、成人発達理論やインテグラル理論を含んで超える非常に奥深い実践思想になります。またそれは思想を超えて、私たちの日常に根差した奥深い実践体系を兼ね備えたものでもあります。
ですが、心の成長の妨げになる要素を網羅的かつ精緻に分析し、豊かな心の成長を実現していくための実践方法を提示してくれる唯識思想は一般に難解だと言われます。そんな心の成長理論としての唯識思想を1人で探究を進めていくことはなかなか難しいと思いますので、本ゼミナールをぜひ探究・実践上のペースメーカーとしてご活用いただけると幸いです!
【ゼミナールの開講の思い】
唯識学はこれまで私が長らく探究してきた成人発達理論やインテグラル理論を遥かに凌ぐ広さと深さを持つ豊かな心の成長理論と実践体系を備えています。私自身、まさか成人発達理論やインテグラル理論を超える心の成長理論があるなどとは想像もしておらず、唯識学と出会った時には本当に衝撃を受けました。
唯識学と出会って日は浅く、私もまだまだ初学者ですので、初学者目線で皆様と一緒に日本の文化遺産‧精神遺産(唯識学は興福寺や薬師寺を中心として日本の法相宗の教義であるゆえ、そのように位置付けています)と言える唯識学を基礎から丁寧に一緒に学んでいければと思います。
唯識学は本来、「大乗仏教の基礎学」という位置付けで、心の詳細な理解と心の修練のために長らく大乗仏教の僧侶たちに親しまれてきた教えになります。基本的に日本の仏教は大乗仏教であり、大乗仏教を構成する二大柱の中観派の空(くう)の思想は依然として僧侶にも親しまれ、一般の人でも般若心経を含めて、空の思想は比較的馴染みの深いものかと思います。
しかしながら、もう1つの大事な柱である唯識派の唯識思想は、古くは最澄‧空海の時代に遡り、鎌倉新仏教の様々な宗派の台頭を受けてどんどん下火となり、今では知る人ぞ知る思想になってしまっています。
個人的にこのような状況を大変残念に感じております。というのも、心を扱う思想体系で言えば、唯識学は間違いなく成人発達理論やインテグラル理論を超えたものであるという確信があり、心を扱う智の結晶としての唯識学は僧侶たちの心の修練に役立つだけではなく、私たち一般の人たちの心の成長に大きく寄与するものだと考えているからです。
かつて成人発達理論やインテグラル理論もほとんど誰からも目をかけられることはなかったように、唯識学も知る人ぞ知る叡智の体系となってしまっていて、多くの人たちに知られないままになっているというのは由々しき事態であり、見過ごすことはできないという思いから、自分の今後の人生を賭けて、どうしてもこれを多くの人に届けたいという思いが日々募っています。そのような思いから、本ゼミナールで唯識学を大事な柱として扱うことにいたしました。
「瑜伽行」という言葉にあるように、唯識学を開拓した人たちは瑜伽師と呼ばれる実践者集団でありました。彼らは当時の仏教が思想的な側面に傾斜する傾向がある点に問題意識を持ち、日常生活に根差した実践をこそ大切にしていました。つまり、日頃私たちが生きている生活世界の中で直面する心の問題をこそ彼らは扱っていたのです。
自分一人でいる時にも、他者と接する時にも、私たちの心は絶えず何かしら動きをみせます。そうした心の微細な動きに注目し、彼らは心の働きとメカニズムを詳細に分析し、そして分析で留まらず、どのようにすれば心の問題を解決できるのかの実践方法を無数に編み出していきました。それは多様な観法行に結実していったことからも分かるように、唯識学は単なる理論体系や思想体系ではございません。兎にも角にも実践を重んじるものなのです。
そうした思いから、心の成長に関する実践をとにかく重んじる唯識学を、対人支援や組織開発の場で活かすことを目的にしたゼミナールを開催させていただくことになった次第です。
何かのご縁でこのゼミナールを通じて唯識学を学ぶことになった方々には深く感謝をし、そのご縁を大切にしながら、唯識学をそれぞれのフィールドで存分に活かしていただければ幸いです。
【心の習い事としての唯識学】
この文章を読んでくださっている皆様は今、心を習うということを日々行っているでしょうか。唯識学は、まさに心について習うことであり、その教えを学び、実践していくことは、「心の習い事」だと形容できるでしょう。
私たちの心は無限に広く深いものであります。そんな奥深い心について学ぶことには終わりはなく、唯識学という心の習い事もまた終わりなきものかと思います。
そんな奥深い習い事を1人で進めていくのは至難の業です。ぜひ本ゼミナールの門戸を気軽に叩いていただき、多様なバックグラウンドをお持ちの他の受講生と共に、心の習い事である唯識学の探究と実践を一歩一歩焦らず一緒に前に進められたら幸いです。
【ゼミナールの進め方】
毎週土曜日に、Zoomでの90分のオンラインクラスを開催します。ゼミナール専用のクローズドのコースページで動画・音声コンテンツをご視聴いただけます。また、コミュニティページで、受講生同士のやり取りも行っていただけます。
クラスに参加できない日があっても問題ございません。アーカイブ動画にてキャッチアップしていただくことができます。ゼミナール受講者の方々は、過去のアーカイブ動画と音声ファイルを何度も繰り返しご視聴いただけます。
各クラスが始まるまでに課題図書を各自でご購入いただき、無理のない範囲で該当箇所の予習をお願いいたします。予習の段階で全てを理解する必要は全くございません。ご自身なりの発見や問いをクラスの中でシェアしていただきますので、そのシェアに向けての準備をよろしくお願いいたします。
【こんな方におすすめ】
・成人発達理論に関心のある方
・インテグラル理論に関心のある方
・瑜伽行唯識学の思想と実践技法に関心のある方
・心について理解を深め、今抱えている心の苦しみや悩みから解放されたい方
・心の成長をどのように実現していけばいいのか悩んでいる方
・心の成長に関する理論と実践方法について知りたい方
・様々な学問領域に対して知的好奇心が旺盛な方
・多様な学びをご自身の成長につなげていくことに関心のある方
・学習·実践仲間を求めておられる方
【コースシラバス】
⭐️過去のコースシラバスはこちらのPDFをご参照ください。
12. 唯識学を通じた心の治癒と発達
(課題図書)『唯識:わが心の構造』
(お勧めの副読本)『『鬼滅の刃』で学ぶはじめての仏教』
第95回のトピック(8/31/2024: 20:00-21:30):唯識学の観点から見る『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
第96回のトピック(9/7/2024: 20:00-21:30):第1章第1節「唯識思想の特徴」
第97回のトピック(9/14/2024: 20:00-21:30):第1章第2節「唯識を説く目的」
第98回のトピック(9/21/2024: 20:00-21:30):第2章第1節「三種の心」
第99回のトピック(9/28/2024: 20:00-21:30):第2章第2節「阿頼耶識」
第100回のトピック(10/5/2024: 20:00-21:30):第2章第3節「末那識」
第101回のトピック(10/12/2024: 20:00-21:30):第2章第4節「了別境識」
第102回のトピック(10/19/2024: 20:00-21:30):第2章第5節「表層心が生じる機構」
第103回のトピック(10/26/2024: 20:00-21:30):第3章第1節「心の二分化」
第104回のトピック(11/2/2024: 18:00-19:30):第3章第2節「生死輪廻の機構」
第105回のトピック(11/9/2024: 18:00-19:30):第3章第3節「三つの存在形態」
第106回のトピック(11/16/2024: 08:30-10:00):第4章第1節「修行の五段階」
第107回のトピック(11/23/2024: 09:00-10:30):第4章第2節「唯識思想の現代的意義」
13. 【唯識学講座第三弾】唯識学を通じた深層心理の究明
(課題図書)『大乗仏教の深層心理学:『摂大乗論』を読む
第109回のトピック(12/8/2024: 8:30-10:00:この日のみ日曜日開催です):序章「ブッダからアサンガへ
第110回のトピック(12/14/2024: 21:00-22:30):第1章「心の深層にあるもの:「アーラヤ」識とは何か」
第111回のトピック(12/21/2024: 21:00-22:30):第2章「世界を見る角度:「三性」とは何か」
第112回のトピック(12/28/2024: 21:00-22:30):第3章「心の変容の方法:「唯識観」とは何か」
第113回のトピック(1/4/2025: 21:00-22:30):第4章「菩薩になる方法:「六波羅蜜」とは何か」
第114回のトピック(1/11/2025: 21:00-22:30):第5章「菩薩の発達段階論:「十地」とは何か」
第115回のトピック(1/18/2025: 21:00-22:30):第6章「菩薩の三つの学び:「戒·定·慧」の三学とは何か」
第116回のトピック(1/25/2025: 21:00-22:30):第7章「究極の自由:「無住処涅槃」とは何か」
第117回のトピック(2/1/2025: 21:00-22:30):第8章「究極のアイデンティティ:「三種の仏身」とは何か」
【加藤ゼミでしか視聴できない特別コンテンツ】
本ゼミナールの受講生の方々だけに「加藤ラジオ/加藤TV」という様々なテーマやトピックを扱った音声動画コンテンツを共有しております。
2024年11月5日時点において、約3000個の音声動画コンテンツがございます。受講生の皆様は過去のクラスのアーカイブ動画だけではなく、こちらの音声動画コンテンツも何度もご視聴いただけます。
⭐️コンテンツ一覧PDFはこちらより
【プロフィール】
加藤洋平(成人発達学者)
略歴
東京都御茶ノ水生まれ。小学校から高校まで山口県光市室積で過ごす。
一橋大学商学部経営学科卒業後、デロイト・トーマツにて国際税務コンサルティングの仕事に従事。退職後、米国ジョン・エフ・ケネディ大学にて発達心理学とインテグラル理論に関する修士号(MA. Psychology)、および発達測定の資格を取得。オランダのフローニンゲン大学にてタレントディベロップメントに関する修士号 (MSc. Psychology)、および実証的教育学に関する修士号を取得 (MSc. Evidence-Based Education)。
現在、オランダのフローニンゲンに在住しながら、成人発達学と瑜伽行唯識学の研究を行っている。
出版書籍
・(2023年4月出版)『成人発達理論から考える成長疲労社会への処方箋 新自由主義的社会における「人生を豊かにする」実践的成長論』(日本能率協会マネジメントセンター)
・(2019年6月出版)『インテグラル理論 多様で複雑な世界を読み解く新次元の成長モデル』(日本能率協会マネジメントセンター)
・(2019年1月出版)『リーダーシップに出会う瞬間:成人発達理論による自己成長のプロセス』(日本能率協会マネジメントセンター)
・(2017年6月出版)『成人発達理論による能力の成長:ダイナミックスキル理論の実践的活用法』(日本能率協会マネジメントセンター)
・(2016年3月出版) 『なぜ部下とうまくいかないのか:「自他変革」の発達心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)